『テレビを使わない初めてのテレビゲーム』として有名になったソフトです。音声だけで進むソフトなので、ラジオドラマのようなソフト、と言ってしまう人もいますが、パッド入力による選択肢をストーリーに盛り込む事で、インタラクティブなゲーム性を付加しています。声優は、あえてプロの声優を『わざとらしいから』という理由で使わず、菅野美穂などの素人っぽい演技を出したのが見事に成功し、高名なシナリオライターの起用と相まって、感動できるソフトに仕上がっています。本当に感動するためには、正しい行動選択をしないと駄目だ、という欠点はあるのですが・・・。
ワープの飯野社長は、「昨今の派手なＣＧゲームは、プレイヤーの想像力を奪ってしまっている。自分は人間の想像力をかきたて、１００人の人がプレイしたら、１００通りの映像が目の前に浮かぶようなゲームが創りたかった」と雑誌などで述べられていますが、私がプレイした感想では、それは成功していると言えましょう。登場人物（俳優さん）の顔を知っているだけに、どうしてもシーンに登場する人物はその姿に限定されてしまうのですが、背景として思い浮かぶ周囲の風景は、私自身の幼い頃の記憶とダブったもの（もしくはそれらとゲームから得られる情報から構築されたもの）になります。そういう意味では、このゲームはプレイする人によって千変万化する希有なソフトと言えましょう。